信州山のグレーディング最高難度、大キレット&穂高縦走 前編 大キレット編

そーしん

2022年09月28日 17:43

9月15日(木)~9月19日(日)

「信州山のグレーディング」という、登山の難易度を客観的に分類した表があるんですよね。

グレーディングの表はコチラ

その山のグレーディングで最高難度のEランクに指定されているのが「大キレット」と「穂高縦走」の2ルートです。
何しろあの「槍ヶ岳」でCランク、3大キレットと呼ばれる残り二つの「八峰キレット」「不帰キレット」や難関ルートで知られる「西穂高岳」でもDランクですからね。その難度の高さが分かると思います。
今回は、ナント!その最高難度の2ルートを繋げて連続でやってきました。
さすがに充実感ハンパじゃなかったですすね。生きて還ってこれて良かった(笑)

長くなったので、前編 大キレット編 と 後編 穂高縦走編 に分けてアップします。




9月15日(木)

仕事から帰ってきて21時に自宅を出発。調布ICまで下道を走り中央高速で松本ICまで。下道で約1時間走って沢渡の駐車場には1時30分に到着しました。一杯飲んだらおやすみなさい。



9月16日(金)

朝は5時にお目覚め。天気予報の関係で1日早く休みを取ったので今日は平日、駐車場にはまだ空きがあります。明日からは3連休だから、今晩からかなり混雑すると思われます。



余裕をもって、6時始発のバスの30分前にチケット売り場に行ったら、すでに100m近い行列が出来ていました。平日だと思って舐め過ぎましたね。



6時のバスには乗れなかったけど、どうにか6時15分の臨時便に乗ることができました。



バスに乗ること30分ほどで上高地バスターミナルに到着。早速準備をします。
ちなみに今回お初の道具がコチラ、ブラックダイヤモンドの3分割で折りたためるストック アルパインFLZです。ボクの愛用のシナノのカーボンポールは先日の越後駒ケ岳に行った際に折れちゃったんですよね。ポールが折れたのは2度目なので、今回もシナノさんに格安で修理してもらおうと思ったんですが、ボクのポールは製造中止になっていて、修理不可能とのことでした。ショック・・・
そこで、新しいストックを探し始めたんですが、今はストックですら現材料不足で品薄なんですね。ネットで探してもなかなか購入できないんです。これもよくやく見つけて手に入れることができました。ちなみに、今回のポールはアルミ製で4シーズン対応の丈夫なヤツです。



もう一つ新しく手に入れたのが、ザックの背面に付いているこのスノコ状の物体。名前は「汗とおる君」といいます。ふざけたネーミングですが、ザックが背中にくっつかないので背中の汗対策として評判がいい、お値段も2460円とお手軽なので買ってみましたよ。感想は後ほど。



さあ、行きましょうか。見慣れた河童橋の向こうには穂高連峰ですね。雲一つない青空です。



河童橋からすぐに小梨平のキャンプ場があります。このキャンプ場も雰囲気が良いんですよね。一度は泊まってみたいものです。



しばらくは梓川沿いの道をお散歩です。左手に見える明神岳、かっこいい。



奥に見えてきたのは、先月登った大天井岳ですね。表銀座、堪能しました。



スタートから1時間半ほどで徳澤園に到着。ここは先月最後に泊まった場所です。相変わらずリゾートな雰囲気ですね。
まだまだ先は長いので写真だけ撮って通過。



徳澤園からさらに1時間ほど歩いて横尾に到着しました。状況に寄りますが、大キレットがあんまりヤバければ途中で断念してここに下りてくることも想定しています。



横尾までは車も通れるような道でしたが、ここからいよいよ登山道の始まりです。



スタートからここまでは、ずーっとほぼフラットな道が続きます。楽は楽なんですが一向に標高が上がらないのでかったるいんですよね。



スタートから4時間弱、やっと登りが始まったと思ったら槍沢ロッジに到着しました。さすがに疲れたのでここでザックを下ろして大休憩します。
「汗とおる君」ですが、心配した背中の痛みや違和感はほとんどない上に、風が抜けると背中が冷やされるのを実感できます。これは優れものですね。買って良かった。



槍沢ロッジから30分ほどでババ平のテン場に到着しました。ここのテン場は以前、ふじぶんさんと連泊したところです。テン場代は槍沢ロッジで利用料を払うんですが、小屋とテン場離れすぎでしょ!ビール買いに行ったら往復1時間(笑)



ここでランチタイムにします。今回のカップラーはなんと!信州のソウルフード「テンホウ」のテンホウ麺です。ボクのブログでは度々登場しますね。まさかカップラーになるとは。
それでは実食してみましょう。極太麺を一口すすると、これは独特の匂いがあって残念な感じ。スープは長崎ちゃんぽんのような白湯スープですが、後入れの油のおかげで一瞬懐かしの香りがしましたが、再現度が高いとは言えません。
期待値が高すぎたんでしょうか。星★★☆☆☆ 2つです。残念。



お腹が一杯になったところで先を急ぎます。以前槍をやった時はもうゴールだったんですが、本日はコースタイムであと倍歩かなくちゃいけません。正面に先月歩いた東鎌尾根を見ながら登ります。ここから見てもギザギザの難儀な稜線ですね。



振り返ると西岳ですね。先月は西岳から槍沢を見下ろしたのを思い出します。



さあ、いよいよ天狗原方面への分岐まで登って来ました。ここからは初めて歩くルートになるんですよね。



槍沢を横切るように道がついています。
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さすがに歩く人も少ないルートですね。今一つ踏み跡がはっきりしません。ペンキを頼りに進んで、槍沢の広い岩ゴロゴロの河原を渡り切りました。振り返るとこんな感じの景色です。



登山道はこの隙間に吸い込まれていくようです。いよいよ尾根に登る感じでしょうか。



登り上げると溶岩?がゴロゴロのフラットな地形になりました。この辺りが天狗原でしょうか。



先に進むと眼下に天狗池が見えました。山中の池ってほとんどが濁って汚いことが多いんですが、ここの水はは湧き水でしょうかね。飲めそうなレベルの透明度です。



池の反対側に回り込むとこの光景が。名物の逆さ槍です。見事な逆さ槍が見れて満足満足!



さあ、岩ゴロゴロの急登を先に見える尾根まで登りますよ。




ヒーヒー言いながら急登を尾根まで登り上げると・・・ 残念 右手にもっと急な登りが待っていました。



ちなみに尾根の反対側はこんな感じです。



ここからの急登は岩が大きくて、歩くというよりは手も使ってよじ登るという感じ。梯子や鎖もあって息も絶え絶えです。



登ってきた尾根を振り返るとこんな感じ。とにかく急で長い。てっきり南岳へのショートカットルートだと思ったんだけど甘かった。




へロヘロになりながら、どうにか急登の先の尾根上まで出ました。尾根まで出るとさすがに南岳はもうすぐそこだ。



反対側は槍~大喰岳~中岳の3000m級の稜線。いつかはこっちも歩いてみたいな。



さあ、あと少しで南岳山頂です。



やったー!! 南岳山頂に到着♪ いや~疲れた。本当に疲れた。



山頂直下には南岳小屋が見えますね。あそこが本日のゴールです。その向こうに見えるのが明日歩く穂高の岩塊。見ただけでヤバイ感じがしますね。



小屋のすぐ下にテン場がありました。さすが3000m近い標高にあるテン場ですね。風がかなり強いんでしょう。風除けの壁がたくさんありました。空いていた壁の裏側に設営完了。



さあさあ、一杯やりますよ。うめ~ 疲れた体に染みわたります。



さあさあ一休みしたら夕食にしましょう。夕食はここのところの定番、カレーメシに生卵子インの軽くて栄養満点メシです。でもちょっと飽きてきたなぁ



あっという間に日が落ちて行きました。
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明日はいよいよ核心部の縦走だ。早めにおやすみなさい。





9月17日(土)

さあ、いよいよ決戦の朝です。朝食は前回食べて気に入った、ごろっとグラノーラのチョコナッツ味を今回もいただきます。さすが3000mのテン場ですね。寒かったのでスキムミルクはホットにしてみました。暖かくて良かったんだけど、ザクザクした食感がちょっとふにゃふにゃになっちゃった。



さあ、午前5時15分いよいよ大キレットに向けて出発です。ヘッデンスタートですがすぐに朝日が昇り始めました。



歩き始めて5分ほどで、ついにお大キレットの姿が見えました。初めて間近で見ますが、思った以上の高低差ですね。これを全部歩くんだ。生きて還るぞ。



さあ、いよいよ下りが始まりました。ものすごい急な下りです。足場も悪いので滑ったり石を落とさないように慎重に歩きます。一瞬でも気を抜くと命とりですからね。



朝日が当たってきました。稜線が輝きます。



とりあえず難所の下りはクリア。下ってきたルートを振り返るとこんな感じです。なかなかのものでした。



そして行く手は両側が切れ落ちた岩ゴロゴロの稜線。



でも稜線は思ったよりも広いですね。しばらくは緊張を解ける稜線歩きです。



左右が切れ落ちているだけあった右も左もアルプスの景観が広がります。絶景絶景!すばらしい!



緊張を解けたのもつかの間、すぐに緊張する登りが始まりました。これが有名な長谷川ピークですね



長谷川ピークは岩をよじ登る感じです。



しばらく登って振り返るとこんな感じ。高度感ありますね。



登りが終わると長谷川ピークの頂上に到着しました。
あれ?有名な長谷川ピーク、思ったより怖くなかったな。ピークで会った方と率直な感想を交換。



記念撮影を自撮りでパチリ。



長谷川ピークからの360度の眺めは動画でどうぞ



ところが・・・長谷川ピークの怖いところは下りで待っていました。両側がスパっと切れ落ちたナイフリッジです。ミスったら命はありません。



途中はヤバかったので写真はなし。本当にヤバイところは写真撮っている場合じゃありませんからね。
安全なところまで下りてきて見上げたナイフリッジの壁です。ド緊張でした。



さあ、いよいよ北穂高岳への登りが始まりますよ。



しばらく登って振り返るとこんな感じ。すごい高度感です。落ちたら命はありません。



一旦下ってA沢のコル。ここから本当の登りです



スゴイ角度の登りです。



これは本当に落ちたらヤバイやつです。緊張感を保って。気を抜くと死ぬぞ。



歩いてきた稜線が絵のように美しい。



これは穂高方面の岸壁。山自体が岩でできているんですね。



緊張の連続で頭はしびれていますが、興奮で体の疲れはさほど感じません。
さあ、あと一息で北穂高岳の山頂ですよ。



展望台がありました。



奥には笠ヶ岳の絶景が。



高度が上がってきたので、南岳の向こうに槍の穂先が顔を出しました。



さあ、いよいよ北穂高小屋が見えましたよ。あそこが大キレットのゴールです。



気力を振り絞って最後の登りを登り切り、北穂高小屋に到着しました。
やったー!!無事生きて大キレットを通過できました!
スゴイ達成感です。


さあ、これからどうするかな。このまま下山して涸沢か横尾でテン泊するか。それとも難易度2位の穂高縦走にチャレンジするか。悩ましいな。



後編につづく




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