雪の西穂高岳は戦慄の恐怖が待っていた! 西穂山荘テント泊

そーしん

2020年03月11日 21:34

3月08日(日)~3月09日(月)

山友の、ふじぶんさんと久しぶりにお山に行こうということに。

どこにします?とボク。

西穂か唐松、とふじぶんさん

えっ西穂・・・ですか。

夏に登ったことはありますが、雪の西穂は相当ヤバイんじゃなかったっけ。

確か上級者限定のお山だったような。

う~ん まぁいつかはとやりたいと思っていましたが・・・

ボクらもそれなりに雪山経験積んだし、そろそろやってみますか。

ダメなら敗退すればいいわけだし、ということで大胆にも雪の西穂高岳にチャレンジしてきました。

雪の西穂・・・ 戦慄と恐怖の、まぢでヤバイ山でした。




3月08日(日)

今回も、ふじぶんさんのお休みに合わせて日・月登山です。

天気予報では日曜が曇りで月曜晴れということで、日曜は途中の小屋までしか歩かないと決めてゆっくり出発。

6時30分にわが家を出発して、11時に新穂高ロープウェイの駐車場に到着しました。

駐車場では、去年登った笠ヶ岳がお出迎えしてくれました。



準備をしたらまずはロープウェイ乗り場に移動。

今回、ネットで調べてヤフオクで株主優待を140円でゲッしました。

ロープウェイ往復2900円のところ2000円になります。

2名まで有効なので、二人で1660円もお得になりましたよ。



今回のザックはフル装備。

アイゼン、ピッケル、ワカン、スコップ、ストック、ヘルメット全部持っていきます。

冬は荷物が多いな(汗)

6kg以上のザックを持ち込む場合は300円増しとのことですが、測ってみたらぶっちぎりの21.5kgでした。

ふじぶんさんはボクをさらに上回る22.5kg・・・負けた(笑)



お天気は予報通り曇り。

まあ、ボクとふじぶんさんが揃うと真っ白はいつものこと。

第1ロープウェイ、第2ロープウェイと乗り継いで、ぐんぐん高度を上げてゆきます。

正面には笠ヶ岳。

やっぱり北アルプスはスケールが違いますね。



さあ、終点の西穂高口駅から登山のスタートです。

しばらくアップダウンを繰り返した後は、がっつり急登。

日曜日だけあって踏み跡はしっかりあります。



山頂駅から1時間ほどで西穂山荘に到着しました。

雪ダルマの「さかいくん」がお出迎え。

ところで何でこの雪ダルマ「さかいくん」なんだろう。



小屋でテン場代1000円をお支払いして、小屋前のテン場で設営開始。

前に泊まった方の跡地を利用させていただきます。

ふじぶんさん、ずいぶん丁寧に整地してますね。

ちょっとでも傾斜があると気になるんだとか。

ボクはデコボコでも全然気にならないのでアバウトに。



設営完了です。

かなり早いですが、本日の登山はこれで終了。



さあさ、ビールをいただきましょう。



かんぱ~い!

テントを向かい合わせにして、お互いテントに入って宴会といういつものスタイル。

これで十分会話はできます。



ビールを飲んだら焼酎のお湯割りにスイッチ。

スキヤキもいただいちゃいますよ。

甘辛いタレがまたウマイんですよね。

もちろん生玉子も持ってきましたよ。

お豆腐も・・・だからザック重たいんだよな。



日が西に傾いて夕焼け空に。



西穂山荘の支配人さん、気象予報士なんですよね。

テン場でも今後の天気予報を解説してくれました。

解説によると明日は晴れ、風も弱いという絶好の登山日和だとか。

ボクとふじぶんさんの真っ白伝説もついに終わりか。


焼酎のお湯割りを飲みながら、いつも間にか眠っちゃいました。




3月09日(月)

朝5時、ふじぶんさんが行動する音で目が覚めました。

いや~よく寝た。

北アルプスのテン場、どこまで気温が下がるかと心配しましたが、おそらくマイナス10度程度だったかと。

最近は装備もそろっているので、このくらいの気温だと朝までぐっすりと快眠できます。

スキヤキの残りにうどんを入れて朝食にします。



朝6時、さあいよいよ雪の西穂にチャレンジです。

出掛ける時に、ちょうど東の空が明るくなってきましたよ。



しばらく登って振り返ると、小屋の奥に焼岳、その向こうに雪をかぶった乗鞍岳が見えました。

北アルプスはやっぱり雄大だなぁ



稜線まで登ると、これから向かうギザギザの稜線が見えました。

あの一番向こうが西穂の山頂かな。



前穂方面から朝日が顔を出しました。

北アルプスで見る朝日。

本当にキレイ、しばし見とれました。



ちょっと歩いて丸山山頂です。

奥には笠ヶ岳の稜線が真っ白でキレイ。



さあ、ここからが急登の始まりです。

がっつり登りますよ。



急登を登り終わると前方にまた稜線が見えました。

朝日が当たった形が三角なのはピラミッドピークですね。

その手前のずんぐりしたのが独標です。



まずは手前に見える独標を目指します。

独標のピークに人の姿が見えます。



小屋から独標までは雪山の入門コースと言われているんですよね。

入門の割には意外とゴツイんですけど。



独標のピークに到着しました。

ここまでの登りも、鎖が雪に埋まっていて滑落するんじゃないかって恐怖感がありましたね。



独標からはこの絶景。

今まで歩いてきた稜線です。



そして、コチラがこれから目指す西穂山頂方面。

・・・

この稜線本当に人が歩けるの?

行きたいけど怖い、行くべきか帰るべきか心で葛藤します。

ふじぶんさん、引き返そうって言わないかなぁ 

ちなみに山頂にいたペアの男性はここで引き返していきました。



さあ行きますか・・・ とふじぶんさん

あっやっぱり行っちゃうのね。

そうだよね。

しょうがない、意を決して先に進むことにします。

独標の先はいきなりのクライムダウン。

落ちたら助からないヤツです。



どうにか無事下降終了。

いや~緊張した。

でもこんなのは序の口。まだまだ続きますよ。



今度はこんな下り。

ひょえー!



アップダウンを繰り返しながら、独標から見えたギザギザを一つずつ越えて行きます。



大きなギザギザを登りきると・・・



ピラミッドピークの看板が。

下から見えた、三角形のかっこいいピークです。

奥に見えるのが西穂の山頂かな。

まだまだたっぷりあるなぁ



ギザギザの間にはこんな痩せ尾根も。

ヤベェヤベェ!左右どちらに落ちても助かりませんね。

慎重に歩きます。



基本、長野県側は雪庇が張り出しているので歩きは岐阜県側を巻きます。




山頂、だいぶ近づいてきましたね。

その前に・・・なんか雪壁が立ちはだかっているんですけど。

やっぱ、あれ登らなきゃいけないんだよね。



しっかりとピッケルを刺して登ります。

ふじぶんさん、上から落ちてこないよな。

落ちても止められるはずないし・・・一緒に落ちちゃうな。



さあ、いよいよ山頂直下までやって来ました。

この左側の雪壁が問題の核心部ですね。

ここが一番の問題ポイントです。



近くまで来ると、ヤバさがよーくわかります。

こりゃ壁だよ。

おいおい、壁の上から人が降りて来るぞ。

両手にピッケルを持ったダブルアックスの人です。

アイスクライミングとかもやっているんでしょうね。

ボクらはただの登山者、ピッケルは縦走用でしかも1本だけです。

大丈夫か。



まあ行けるはずです。勇気を出していきましょう。

壁にアイゼンを蹴りこんで、一歩一歩確実に登ります。

緊張感MAX、に何しろこの下は数百メートル下まで壁が続いています。



本当は写真撮ってる場合じゃないんですけどね。

ブロガーの性ってヤツでしょうか。

ヤバイ状況になると、何とかして伝えたくなっちゃいます。

本当はかなりテンパっている状況なんですが。



最後はやっと傾斜が緩くなって歩けるようになりました。

山頂に到着です。



山頂の看板の向こうには笠ヶ岳。



さすがに達成感ハンパないですね。

どうにか登り切りましたよ。

バンザイしばがら記念撮影。



こちらはさらに先に行く奥穂方面。

この奥に行く人もいるのかなぁ

個人的にはお金もらっても行きたくないな。



そしてこれが登ってきた稜線。

いや~よく登ってきたもんだ。



山頂からは、黒部源流部の山々から奥穂、前穂の大パノラマです。

風もなく奇跡的なコンディションの北アルプス。

ボクのお山人生でも最高といえるの景色でした。



さあ、のんびりもしていられませんね。

気温が上がると、壁の雪も柔らかくなってアイゼンが効かなくなりそう。

そろそろ戻りましょう。



当たり前だけど、またこれ下らなくちゃいけないんだ。

後ろを向いてクライムダウンします。

後ろ向きで降りるのがまた怖いんですよ。

顔が壁に近づいて視界がグンと狭まるので、登りで作ったステップが良く見えません。

チラチラ下を見ながらとにかく力一杯アイゼンを蹴りこんで、恐る恐る体重を乗せ・・・

大丈夫そうだったら体重をかけて次の足を蹴りこむ。

手は雪面にピッケルを刺して万が一でも支えられるように確保します。



落ちたら間違いなく止まりませんからね。

緊張感の連続。

一歩一歩蹴りこみながら確実に下ります。

登りの何倍も時間がかかるぞ。

それにしてもこんなに長かったかな。

いつまでたっても近付きません。



どうにか終わった。

いや~ド緊張した。

お山人生最大のピンチでした。

ピックを打ち込んだ右腕はガクガク、雪壁に蹴りこんだ太ももはパンパンです。



気を抜くのはまだ早いですね。

ここからもヤバイところはまだまだ続きます。



滑落事故の大半は下りで起きるんですよね。

疲れているというのもありますが、気が緩むことも原因です。

独標からずーっと緊張を強いられているので、精神的にキツイ。



滑ったり躓いたりしないよう、慎重に一歩一歩進みます。



またクライムダウン。

緊張を途切れさせず、一歩一歩。



一歩一歩



ピラミッドピークを越え・・・



一歩一歩



一歩一歩



ついに独標への最後の登りです。

一歩一歩慎重に。



フー

独標まで戻ってきました。

ほっと一息、景色を眺めます。

こちらが奥穂から吊り尾根通って前穂の稜線。

毎年予定をしながらまだ歩けていないんですよね。

今年の夏はあの稜線を歩くぞ。



独標を降りたら、もう命を落とすような場所はありません。

無事生還という感じ。

大パノラマを見ながらゆううゆうと歩きます。

はぁ 生きて帰って来れた・・・



小屋が見えて西穂アタック終了です。

お疲れさまでした~



テン場に戻ってきました。

本当に疲れた。



さあさあランチタイムにいたしましょう。

今回も袋麺、ラ王の味噌味です。

うまいなぁ。



お腹がいっぱいになったところで撤収。



さあ、帰りますか。



笠ヶ岳を見ながらの樹林歩き。

雪山だというのにむしろ暑いくらいのお天気。



振り返ると、先ほどまでいた西穂の山頂が。

あんなところから降りてきたのか。

われながら感心しちゃいます。



帰りもロープウェイ。

笠ヶ岳が微笑みかけているような気がしました。



駐車場脇の地面には、もう春の訪れ。

フキノトウが顔を出していました。



これ好物なんですよ。

さっそくフキ味噌にしよう。



ということで、今回の登山終了です。

雪の西穂、上級者レベルの山を登れたからといって、けっして自分が上級者になったわけじゃありませんね。

今回は、単にコンディションに恵まれました。

風や雪の状況次第では軽く跳ね返されるレベルです。


雪の西穂高岳、またやりたいかと聞かれれば、もう結構ですと答えることでしょう(笑)



今回のログです。


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